試験に合格しただけではすぐには収入に結びつかない資格

日経BP「Small Biz」の戸並 隆氏のコラム「第10回 ITコーディネータでメシは食えるか?」で、ITコーディネータ協会が認定するITコーディネータの資格が、コンサル業として成り立つかどうかの考察がされています。今日の企業経営ではITの活用が必須であり、ITコーディネータは人材の乏しい中小企業のIT活用のために、専門家として助言・指導を行うことを業とする資格ですが、試験に合格しただけではすぐには収入には結びつかないそうです。しかも、ITコーディネータとしての業務での実践とセミナー等による知識取得を間断なく行なっていないと、資格が剥奪されてしまうのだそうで、そのためにポイント稼ぎの有料セミナーだけが満員御礼で、完全な供給過剰状態とのこと。IT投資を真に経営に役立てるためには、IT技術にも経営にも通じている専門家の存在が必要であることは間違いありませんが、中小企業ではIT投資の予算に限度があり、コンサル・フィーも限られていることから、現時点ではビジネスとしては成り立たないようです。しかし筆者は「すぐにはカネにならなくとも、布石を打つことが重要」と説き、ITコーディネータという、ITを自在に活用できる経営コーディネータの出現こそが、中小企業への福音であると結んでいます。世の中にはたくさんの資格がありますが、試験に合格しただけですぐに収入に結びつくほど世の中甘くないようです。私も本業では会社の部門内でITコーディネータのような仕事を行っていますが、IT関係で何かトラブルがあると部門を越えて私のところに相談が来るのは、私の肩書きとか職責とかとは関係なく、日頃の問題解決の実績でみなさんに信頼をいただいているからだと思っています。その信頼が私の貴重な財産ですし、その信頼を失わないためにも、日々の情報収集とスキルアップが欠かせません。私がボランティアとして活動を続けているマンション管理士の仕事も同じこと。専門家としてサービス品質の向上に努めながら、少しずつでも実績を重ねて、お客様である管理組合や区分所有者の方から信頼をいただくことが一番大切なことであると考えています。